復帰する為には当然、それなりに成績を上げなければならず今週からは「塾通い」も始めるらしい。
何だかクラブの為の塾みたいで、趣旨が異なる気もする。
そんな複雑なヤツの胸中を察すると・・・と思っているのは周りの大人だけかもしれん。
ヤツにとっては最後となるやもしれん大会の朝7時、まだスヤスヤと眠っているヤツの部屋に入ったワシ。
「お前、今日は大会じゃなかったのか?もう7時だけど、間に合うのか?」と、ヤツを見下ろしながら言った。
ワシの声にベッドの中で目を覚ましたヤツは「今7時っ?あぁ、間に合う間に合う・・・」と、ワシを見上げた。
しかし数秒後にはカッと目を見開き、ベットを飛び出し着替えながら「あかんやん!間に合わん間に合わん!」と叫びだした。
聞けば7時15分集合だと言ってパニクるヤツは、相変わらず頼りない15歳である。
しかし幸運な事に、大会が催されるプールは自宅から車で10分の会場だった。
仕方なくガレージから車を出したワシは、助手席でバナナとパンを頬張るヤツをほぼ集合時間に会場の駐車場に届けた。
「ありがとう!お父さん!」
そう言い残し、助手席を飛び出して猛ダッシュで走り去るヤツの後姿には、何だか少しだけ逞しさもあった。
気持ちのいい奴なんだけどな・・・あとは強い精神力かな。
【ヤツの話の最新記事】


